君は私のことを忘れるだろう
今日忘れなくても明日には
明日忘れなくても来週には
来週忘れなくても来月には
来月忘れなくても来年には
そしていつか必ず 忘れるだろう
そうしてくれれば 私は綺麗さっぱり消えることができる
でも
いずれ思い出してしまうかもしれない
あの小高い丘の公園の あの美しいソメイヨシノを見たときに
あの寂れた物悲しい裏通りの あの悲しく輝くランプの喫茶店を見たときに
あの子供たちが歩いて帰る河川敷の あの紅く滲む雄大な夕日を見たときに
あの交差点を見たときに
実に悲しいことだ
そうして再び生み出された私は
思い出でツギハギだらけの無様な私となるのだろう
都合のいいように改造された
操り人形となるのだろう
無責任に思い出してくれるな
それはもはや 私ではない
君の一部となり果てた
悲しい私でしかないんだよ